一対一対応の数学のレベルと使い方|東大生が解説する正しい進め方

一対一対応の数学のレベルと使い方|東大生が解説する正しい進め方

この記事では、地方の公立高校から東京大学理科一類に進学した現役東大生(工学部3年)の私が、独学で『一対一対応の数学』を全6冊使い切った経験と、現在オンライン家庭教師「どこでも東大生」で生徒に指導している経験の両方を踏まえて解説します。もともと高校1年の数学の偏差値は55程度でしたが、本書を使い倒したことで東大数学に対応できる力がつきました。

一対一対応の数学の概要|対象の冊子と内容

『一対一対応の数学』とは、東京出版が刊行する大学受験数学の問題集シリーズで、入試標準レベルの良問だけを厳選した参考書です。新課程版では数学I、数学A、数学II、数学B、数学III(微積分編)、数学C(曲線・複素数編)の全6冊で構成されており、理系受験生は6冊全て、文系受験生は数I・A・II・Bの4冊が学習対象です。

一対一対応の数学の特徴|典型解答と演習題

本書最大の特徴は、書名のとおり「1つの例題」と「対応する1つの演習題」が見開きでセットになっている構成です。例題で典型解法をインプットし、すぐに演習題で同じ思考を使ってアウトプットする設計になっています。掲載問題は青チャートやFocus Goldのような網羅系参考書と性質が大きく異なり、基本パターンを網羅するというより「核となる考え方」を凝縮した良問だけを厳選しているのが本書の思想です。私が本書に出会ったのは、地方の県立高校で授業進度が遅く、難関大対策の参考書も学校では配られなかったため、自分でネットや書店で探したのがきっかけでした。

『一対一対応の数学』のレベルは入試標準から準難関で、習得すれば難関国公立大の二次試験や早慶上理レベルの数学問題に対応できる位置づけです。

一対一対応の数学に取り組める目安|習得段階と到達可能性の高い大学群

本書を使う前提として求められるのは、青チャートやFocus Goldのような網羅系問題集を一通り終えていることです。全国規模の記述模試で安定して上位層に入れる状態が望ましいでしょう。

習得段階到達できる大学・大学群の目安
例題の8割が手を止めず解ける地方国公立、GMARCH、関関同立
演習題まで5割以上解ける旧帝大の標準問題、早慶
演習題まで8割以上解ける東大・京大・医学部の標準問題

青チャートとの連携|数学の参考書ルート

家庭教師として教えていると「青チャートが終わったら次は何をすればいいか」と聞かれることが多くあります。基本的には本書を勧めますが、青チャートのコンパス5まで完璧に解ける状態でない場合は、先に青チャートの復習をやり込むほうが効率的です。私自身、最初は青チャートが終わる前に手を出して挫折し、結局青チャートに戻ってから再挑戦する遠回りをしました。

一対一対応の数学の問題数(科目別一覧)

『一対一対応の数学』の問題数は1冊あたり例題と演習題を合わせて約100〜170題で、理系受験生は全6冊で合計約700題に取り組むことになります。

科目例題数演習題数合計
数学I約53題約50題約103題
数学A約54題約54題約108題
数学II約83題約83題約166題
数学B約59題約59題約118題
数学III約75題約75題約150題
数学C約36題約50題約86題

青チャートが各科目500題前後を扱うのに対し、本書は約半分以下に厳選されています。ただし「問題数が少ないから楽」と思うのは大きな誤りです。私が実際に取り組んだとき、数2の166題は1問1問の重みが大きく、最後まで仕上げきるのに2ヶ月近くかかりました。科目によって所要時間が大きく違うので、計画を立てる際は問題数の差を意識してください。

『一対一対応の数学』を始める時期は、理系は高校3年生の4〜6月、文系は高校2年生後半〜高校3年生の4月が目安です。

  • 理系・難関国公立志望:高3の4月開始、夏休み終了までに全範囲1周
  • 理系・地方国公立や中堅私大志望:高3の6〜7月開始、秋までに完成
  • 文系・難関大志望:高2後半から高3の4月までに開始
  • 文系・標準的な大学志望:高3の4〜6月に開始

1冊あたりの標準的な学習期間は1ヶ月から1.5ヶ月で、シリーズ全体は理系が約6〜9ヶ月、文系が約4〜6ヶ月かかる計算になります。

数学の進度が遅い|独学での先取りの必要性

地方公立校や進度の遅い学校に通っている受験生に伝えたいのは、学校の授業進度を待っていてはまず間に合わないということです。私の通っていた高校では数3の履修終了が高3の10月頃で、これでは本書に取り組む時間が完全に不足します。私は高2の冬から数1A・2Bを独学で先取りし、高3の4月時点で本書に着手できる状態を作りました。授業進度が遅い環境ほど、独学での先取りが必須になります。

『一対一対応の数学』の正しい使い方は、例題を完璧に再現できるまで仕上げてから演習題に進む4ステップ学習法です。

  1. 例題を解く前に問題文を読み、解法の方針が立つかを15分考える
  2. 解説を読み込み、なぜその解法に至るのか思考プロセスを言語化する
  3. 解説を閉じて、自力で最初から最後まで答案を再現する
  4. 対応する演習題に挑戦し、間違えた問題には印をつけて週末に復習する

1問あたりにかける時間は20分程度が目安です。30分以上考えても解法の方針が立たない場合は、迷わず解答を見て構いません。重要なのは「解けたかどうか」ではなく「正しい思考プロセスを習得したかどうか」です。

解答冒頭の前文を精読|重要な手法やエッセンスを理解

独学で進めていた私が最も意識していたのは、解説冒頭の「前文」を必ず精読することです。前文には、その問題のテーマで重要な手法や典型解法のエッセンスが凝縮されています。塾に通えず独学で進めていた私にとって、この前文は実質的に先生役を果たしてくれました。逆に家庭教師として教えていて典型的な失敗パターンは「例題だけ解いて演習題を飛ばす」ことで、これでは本書を使う意味の半分が失われます。

『一対一対応の数学』の前には青チャートまたはFocus Goldを、後には志望校レベルに応じて新数学スタンダード演習や理系プラチカに進むのが王道ルートです。

数学参考書学習ルートマップ

一対一対応の数学の前にやるべき参考書

  • 青チャート(チャート式基礎からの数学):コンパス4〜5まで完璧に
  • Focus Gold:星3〜4まで完璧に
  • 基礎問題精講:基礎力に不安がある場合の代替

これらの網羅系参考書を飛ばして本書から始めると、解説に出てくる解法の前提知識が不足し、独学では理解が追いつかなくなります。私自身、最初に青チャートをきちんと終わらせず焦って本書に手を出した結果、解説が難しすぎて挫折した経験があります。急がば回れで、まずは網羅系を完璧にすることを強くおすすめします。

一対一対応の数学の次にやるべき参考書

  • 東大・京大・医学部志望:新数学スタンダード演習、新数学演習、ハイレベル理系数学
  • 旧帝大・早慶志望:理系数学の良問プラチカ、文系の数学実戦力向上編
  • 地方国公立・GMARCH志望:志望校の過去問演習に直接接続

東大理系志望なら本書の後は新数学スタンダード演習に進むのが最もスムーズです。本書と同じ東京出版から出ており、解説の癖や思考の流れが揃っているため、移行コストが最小限で済みます。

『一対一対応の数学』と同レベル帯には標準問題精講や理系プラチカなどがあり、解説の濃さや問題の網羅性で性格が異なります。

参考書問題数解説の傾向特徴
一対一対応の数学少なめ簡潔例題と演習題のセット構成、解法の核を学ぶ
標準問題精講絞り込み非常に詳細「精講」が極めて丁寧、1問の情報量が多い
理系数学の良問プラチカ多め標準網羅性が高く、過去問ベースの実戦演習向け
新数学スタンダード演習多め簡潔本書の上位版、総合問題を含む

家庭教師として教えていると、生徒の性格によって本書が合うかどうかが分かれることに気づきます。解説が簡潔でも自分で行間を埋められる生徒は本書で伸びますが、丁寧な解説を読んで理解を深めたいタイプの生徒には標準問題精講のほうが効率がよい場合があります。独学を選ぶ場合は特に書店で実際に見比べて、自分が読み続けられるほうを選ぶことを強く勧めます。

『一対一対応の数学』でつまづく受験生に共通するパターンは「基礎不足のまま使う」「例題だけで満足する」「解説の前文を読み飛ばす」の3つです。

網羅系参考書を仕上げずに本書から始めてしまう

最も多いつまづきは、青チャートやFocus Goldの習得が不十分なまま本書に進むケースです。本書の解説は「典型解法は既知であること」を前提にしているため、基礎が穴だらけだと解説を読んでも理解が定着しません。私自身が高2のときに陥った失敗で、結局青チャートに戻って4ヶ月かけて穴を埋めてから再挑戦しました。

例題だけ解いて演習題を飛ばす

例題を解いて満足してしまう受験生も多いですが、これでは本書の真価を半分しか活かせません。例題はあくまで解法のインプット、演習題が使える知識への昇華です。両方をセットで取り組まないと、初見問題に対応する力は身につきません。

解説の「前文」を読み飛ばす

本書の解説には、各問題の冒頭に「前文」と呼ばれる解法の要点まとめが掲載されています。ここを読み飛ばして問題と解答だけを追う受験生がいますが、それでは本書を使う意味がほぼ失われます。私のように特別なセンスがない受験生でも、正しい順序で正しい量をこなせば東大数学のレベルに到達できると断言できます。

ここまで一対一対応の数学の使い方やスケジュールを解説してきましたが、独学で計画通り進めるのは想像以上に難しいものです。私自身、独学で東大に合格しましたが、振り返ると無駄な遠回りも多く、もし当時に伴走してくれる人がいればもっと効率的に到達できたと感じています。

オンライン家庭教師「どこでも東大生」では、使用する教材を生徒側で自由に選べる柔軟な授業体制を採用しています。本記事で紹介した一対一対応の数学をそのまま授業で使うことも、青チャートや志望校の過去問と組み合わせて進めることも可能です。

さらに、現役東大生のコーチが志望校合格から逆算した年単位・月単位のスケジュールを作成し、それを週単位・日単位の学習計画へと落とし込みます。授業がない日に何をすべきかが明確になるため、本書のような分量のある教材も計画的に習得できます。独学経験のあるコーチが伴走するからこそ可能なオーダーメイドのサポートです。独学での進め方に不安がある方は、まずは無料の説明会で詳細をご確認ください。

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所要時間 約60分 質問・相談OK
  • 東京出版 公式サイト:https://www.tokyo-s.jp/
  • 東京出版 1対1対応の演習シリーズ販売ページ:https://ts-webstore.net/?mode=grp&gid=2704607
  • 文部科学省 高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編:https://www.mext.go.jp/
  • 東京大学 入学者選抜要項:https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/
  • 独立行政法人 大学入試センター 公式サイト:https://www.dnc.ac.jp/