リスニング勉強法|正しい3ステップを現役東大生が解説

リスニング勉強法|正しい3ステップを現役東大生が解説

リスニングの勉強法は、音を正確に聞き取る力と、聞き取った意味を瞬時に処理する力の両方を鍛える必要があります。

音を聞き取る力(音声知覚)

英語には、日本語にはないリズムや、単語同士がつながって発音されるリエゾンと呼ばれる現象があります。この仕組みを知らないまま音声を聞いても、知っている単語すら聞き取れないことがあります。文字で見れば理解できる単語でも、音として耳に入ってくると別の単語に聞こえてしまう経験は珍しくありません。私自身、高校時代にこの仕組みを知らず、単語力があるのにリスニングだけ点数が伸びない時期がありました。

意味を処理する力(語彙・文法の瞬発力)

音が正しく聞き取れても、単語の意味や文の構造を思い出すまでに時間がかかると、次の文にはもう置いていかれてしまいます。読解問題であれば時間をかけて考えられる単語や文法も、音声では待ってくれません。読解では時間をかけて考えられる部分も、リスニングでは瞬時に処理できる状態まで仕上げておく必要があります。

リスニングが伸びない原因の多くは、日本語話者に特有の聞き取りの壁を意識せずに学習していることにあります。

日本語にない音・リズムを聞き分けられていない

英語には日本語にない母音・子音の区別や、強く読む部分と弱く読む部分の差が大きいリズムがあり、これを知らないまま聞き続けても耳が慣れにくくなります。日本語は音の強弱が少ない言語のため、この差自体に意識を向けたことがない生徒も多く見られます。単語を1つずつ丁寧に発音する練習だけでは、実際の会話スピードでの聞き取りにはつながりにくい面があります。

日本語に訳しながら聞いてしまう

聞こえてきた英語を頭の中で日本語に訳してから理解しようとすると、その作業をしている間に次の文が流れてしまい、内容についていけなくなります。読解では許される訳す作業が、リスニングでは処理落ちの原因になってしまいます。英語の語順のまま意味を受け取る練習を重ねることが、この壁を越える近道になります。

リスニングの勉強法は、聞こえない部分を特定する段階と、音と意味を結びつける段階を順番に進めることが効果的です。

まずディクテーションで聞こえない部分を特定する

ディクテーションは、聞こえてきた英語を一語一句書き取る勉強法で、どの単語や音が聞き取れていないのかを具体的に洗い出せる点が最大の利点です。単語自体を知らなかったのか、知っている単語なのに音として認識できなかったのかを区別できると、その後の対策も変わってきます。漠然と「聞き取れない」で終わらせず、聞き取れなかった箇所を1つずつ確認することが、その後の対策の精度を上げます。

シャドーイング・オーバーラッピングで音と意味を結びつける

聞こえない部分を特定したあとは、音声を追いかけて発音するシャドーイングや、スクリプトを見ながら発音するオーバーラッピングで、音と意味を結びつけていきます。指導する生徒にも、いきなりシャドーイングから始めるのではなく、ディクテーションで弱点を洗い出してから取り組むよう伝えています。

リスニングの勉強法は、今の実力に合わない教材を選ぶと効果が出にくいため、レベルに応じて取り組み方を変える必要があります。

初級者向けの取り組み方

基礎段階では、教科書レベルの短い英文をスクリプト付きで繰り返し聞き、意味を理解できる教材から始めると挫折しにくくなります。1回で聞き取れなくても、スクリプトで確認してからもう一度聞くという繰り返しが、音と文字を結びつける土台になります。難しい教材に無理に挑戦するより、8割程度理解できる教材で音に慣れることを優先したほうが上達は早まります。

中級・上級者向けの取り組み方

基礎ができてきたら、ニュースや教科書より長めの文章を使ったディクテーション、スクリプトなしでのシャドーイングへと段階的に難度を上げていきます。教材の難度を一気に上げるのではなく、少しずつ語数や速度を伸ばしていくほうが挫折しにくくなります。私自身、高3の頃は過去問の音声を教材にして、聞き取れなかった箇所を毎回書き出す作業を続けていました。

リスニングの勉強法として広く知られている方法の中にも、効果が出にくいものがあるため注意が必要です。

聞き流しだけに頼る学習

意味を意識せずに英語を聞き流すだけの学習は、耳がその音に慣れる効果はあっても、内容を理解する力の向上にはつながりにくいという特徴があります。「聞いた時間」だけを積み重ねても、内容を理解しようとする意識がなければ処理する力は育ちません。聞きながら他の作業をする習慣がついてしまうと、集中して聞き取る力そのものが育ちにくくなります。

レベルに合わない教材を使い続ける

半分も理解できない教材を我慢して聞き続けても、知らない単語や聞き取れない音がそのまま残り、達成感も得にくいため学習が続かなくなります。背伸びした教材を選びがちですが、理解できない部分が多いほど得られる学びは少なくなります。今の自分が8割前後理解できる教材を選ぶという基準を持っておくと、教材選びで迷いにくくなります。

大学入試のリスニングでは、基礎的な聞き取り力に加えて、試験特有の出題形式への対応も求められます。

1回読み問題への対応

共通テストのリスニングは大問によって1回読みと2回読みが混在しており、後半の大問ほど1回読みの比重が高まるため、1回で聞き取り切る練習が欠かせません。普段の演習から意図的に1回読みで解く機会を作っておかないと、本番で初めてその緊張感に直面することになります。普段の練習から2回聞くことを前提にしていると、本番の1回読み問題で対応できなくなります。

図表・イラスト問題の先読み

音声が流れる前の数秒間で設問と図表・選択肢に目を通し、聞き取るべき情報をあらかじめ絞り込んでおくと、限られた集中力を効率よく使えます。先読みができているかどうかだけで、同じ音声でも聞き取れる情報量は大きく変わります。過去問演習の際は、この先読みの時間配分まで含めて本番と同じ条件で練習しておくと安心です。

リスニングが伸び悩む背景には、日本語にはない音のルールや、訳しながら聞く癖といった共通の原因があります。ディクテーションで弱点を特定し、シャドーイングやオーバーラッピングで音と意味を結びつける順番を守れば、特別な才能がなくても聞き取れる範囲は着実に広がっていきます。

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  • 文部科学省:中学校学習指導要領 第2章 各教科 第9節 外国語:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/chu/gai.htm
  • 独立行政法人大学入試センター:英語リスニングについて:https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/listening.html